客先常駐(SES)から工場へ転職失敗した話

2020年8月10日月曜日

客先常駐(SES)

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客先常駐のエンジニア(いわゆるSES)として働いている人なら一度くらい「この業界辞めたい」と考えたこともあると思います。

僕自身も以前はそう考えていて、数年前に一度異業種への転職を試みたことがあります。

しかしそれは結論として大失敗でした。

今回はその辺の体験談を自身への戒めの意味も込めて書き記していきたいと思います。


転職までの経緯

当時僕が働いていたのは社員数30名程度の客先常駐をメインに扱う会社です。

常駐先では主に実装/テスト業務を担当していました。

入社したての頃は色々な経験が新鮮で比較的楽しく仕事できていたのですが、経験を重ねるにつれて転勤の多さやそれに伴う環境の変化等、客先常駐の欠点が気になるようになってきました。

(客先常駐の欠点については他のサイトでも散々言及されていると思うのでここでは割愛させてもらいます)

さらに尊敬している先輩が退職してしまう等、モチベーションが下がる出来事が重なってしまったこともあり、下がったモチベーションが戻らずそのままの流れで転職活動を開始しました。


何故工場に転職?

上でも少し触れましたが、僕が客先常駐で一番嫌だったことは転勤の多さです。

客先常駐は基本的に客先のプロジェクトが一段落した時点で次の客先へ転勤となります。

客先が変わると電車の通勤経路や(通勤距離によっては)起床時刻等の生活リズムに変化を強いられる上に、新たな現場での業務知識の学習も必要になり、そのストレスは計り知れません。

そして客先常駐だとこういったストレスが最悪数カ月ごとに発生するのです…。

なので、転職先の第一条件として転勤が無い職場をと考えていました。

また、未経験者でも出来て、人とあまり接することが無くて、(都会の電車通勤に疲れていたこともあり)田舎でのんびり働ける仕事が良いと思い、色々考えた結果「田舎の工場でのんびり働こう」という結論に至りました。

今思うとあまりにも浅はかな考えだったと思います…。


そして転職活動開始

転職活動では主にハローワークを利用しました。

転職エージェントでも探してはみたのですが、工場の求人はハローワークの方が多かったです。

幸い業務のほうはそれほど忙しくなかったので有給も(怒られない範囲で)活用しました。

結局5社くらい応募してそのうち1社から内定がもらえたのでそこに決めました。

内定先はプラスチック製品の成型をやっている小さな会社で、製品の検査員として採用されました。

ちなみに面接時の志望動機では「田舎の工場でのんびり働きたいです」なんて言ったら落とされそうなので、適当に「物作りの最前線に携わりたいです!」みたいなことを言っていた気がします。

この志望動機が後々自分を苦しめることになるとも知らずに…。


転職活動終了!しかしすぐに後悔へ…

転職先が決まった後はすぐに職場へ退職届を出し、その2ヶ月後くらいに退職しました。(引継ぎをきっちりやったこともあり特に揉めたりはしませんでした)

また、転職先が田舎だったので車30分くらいで通える場所に引っ越しました。

そうした準備を終え、希望に胸を膨らませ転職先の入社日を迎えたのですが、それはすぐに後悔の念へと変わりました。

転勤は無い…が海外出張がある

転職先は小さな工場だったのですが何故か海外進出もしており、将来的に中国・ベトナムへの長期出張があり得るという話を後から聞かされました。

海外への長期出張なんて転勤以上にやりたくないので、この時点で壮絶に後悔しました…。

工場の仕事は想像以上にハード

工場では製品の一日あたりの生産ノルマが決まっていて、それに間に合わせるため分刻みのスケジュールで作業を進めなければならず、これが非常にプレッシャーでした。

転職前は「工場でのんびり働きたい」と考えていたのですが、実際には転職前の職場よりも気が休まらず、肉体的にも精神的にも辛かったです。

自分のこれまでの経験が全く活かせない

転職前から覚悟していたつもりだったのですが実際に体験すると想像以上に辛かったです。

僕の場合は大学から情報系の道を選んでおり就職後もずっとパソコンを使う仕事をしていたのですが、工場に転職後はパソコンはおろか自分の席すらありませんでした。

座るのはせいぜい食堂の座席か休憩スペースのベンチくらい。

そうしてひたすら工場内で立ち仕事をしていると「わざわざ大学まで卒業して自分は一体何をしているんだろう…」という疑問と両親への申し訳ない気持ちがこみ上げてきて泣きたくなりました。

謎の研修期間が設けられる

検査員として採用されたのに社長から「ものづくりに興味があるのなら検査以外の全工程も知っておかないと」と言われ何故か全部署を研修で回る羽目になりました。

しかも各部署に数ヶ月間ずつ配属されるということで検査部門への正式配属は1年近く先。

他の検査員は入社後すぐに正式配属されているらしく、別の社員に聞いても「そんな研修初めて聞いた」と言われ、何で俺だけこんな研修やるの?と思っていたのですがその理由を後々知ることになります…。

何故か営業に配属させられそうになる

これは退職直前に知ったのですが、何故か社長は僕を営業に配属させるつもりだったらしいです。

そして上で書いた研修期間は営業配属の前準備として設けられたとのことでした。

どうやら面接時の志望動機が模範解答過ぎたらしく「これだけ前向きな考えなら営業に行かせても大丈夫」と都合よく解釈されたようです。

いや、そんな話全く聞いていないし営業とか死んでも無理なんですが…。

上司がパワハラ屑野郎

研修期間最初の配属先で当たった上司が最悪でした。

  • 仕事の振り方が雑(口頭のみで手順書等は一切なし)
  • ちょっとしたミスでもすぐに怒鳴り散らす
  • ミスじゃなくても気に食わなければ嫌味を言い出す
  • 他の人のミスは一切黙認(ヘラヘラしているだけ)
  • 偉そうにしているくせに自分も似たようなミスをする

以前の職場でも厳しい上司はいましたが、言っていることは正論で尊敬もできました。しかしこいつに関しては全く見習うべき点が無かったです。

パワハラについては社長に報告する等の手段もあったのですが、その前に退職を決意したのでこいつの言うことは途中から聞き流していました。


そして客先常駐へ後戻り

結局この工場は入社してから2カ月程度で退職しました。

その後、1ヶ月間ほどの無職期間を経て、客先常駐の会社(以前とは別会社)へ再就職しました。

ちなみに年収は以前よりも下がってしまいました…。

反省点

転職失敗の原因は色々あると思いますが、一番は 後ろ向きな動機"だけ"で転職したこと だと思います。

この時は「転勤したくない」とか「楽に働きたい」といった後ろ向きな動機だけで、よく知りもしない異業種(工場)へ勝手な憧れを抱いて転職して、結果現実を思い知らされることになりました。

もしこの時「~がしたい」といった前向きな目標や動機があれば、それをモチベーションにもう少し踏みとどまることもできたのだと思います。

世の中には仕事と割り切って心を無にして働ける人もいるらしいですが、少なくとも僕には無理でした。改めて仕事にはやりがいというものが大事だと思い知らされた次第です。


もし今の職場に不満があって転職を検討されている方は、「何がしたくないか」だけではなく「何がしたいか」についても真剣に考えることをお勧めします(当たり前のことなのかもしれませんが当時の僕はその考えが足りていませんでした…)。

この記事が同じような境遇の方の参考になれば幸いです。

自己紹介

SESから工場へ転職 ⇒ その後SESへ出戻った底辺客先常駐エンジニアです。 主に組み込み、オープン系の現場で詳細設計~実装を担当しています。 使用言語:C/C++/C#/Java/JavaScript (Node.js)/Python etc..

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